佐賀×着物

佐賀県には代表的な着物である「佐賀錦」「木版摺更紗」があります。

• 佐賀錦

  佐賀錦は伝統的な織物の技法です。
  金銀や箔を使用した豪華絢爛なデザインが特徴で、主にフォーマルや晴れ着の着物や帯に使用されています。
  和紙を細く刻んだものを織り込むのが特徴ですが、これには非常に精細な技術を必要とします。
  佐賀錦という名は、1910年にロンドンで開かれた博覧会に出品される際に付けられたもので、その成り立ちに関しては諸説あります。
  現在は織り手が少なくなってきているもの、その豪華な見た目から現在でも高い人気を誇っています。

• 木版摺更紗

  木版摺更紗は佐賀県に古くから伝わる染物です。
  生地の上に木版や型紙を置いて刷るように染めていくのが特徴で、独特の模様が目を引きます。
  もとは南蛮貿易などによってもたらされた異国の布の影響を受けて作られたものといわれており、江戸時代は藩の保護を受けて盛んに生産されていました。
  明治に入ると一度は生産が途絶えますが、昭和の後期に鈴田照次氏によって復活し、現在まで受け継がれています。

• 古賀フミ

  古賀フミは佐賀錦の染色作家で人間国宝です。
  作品は佐賀錦の伝統に、アレンジを加えた繊細で可憐な表現が特徴です。
  1927年に佐賀県に生まれた古賀フミは、佐賀錦の技法研究を積んで様々な作品を展開していきました。
  その独自の作風は日本伝統工芸展で日本工芸会総裁賞、日本工芸会会長賞を受賞するなど、高い評価を受け、日本を代表する作家になります。
  1994年には佐賀錦の技術保持者として人間国宝にも認定され、2015年に亡くなるまで精力的に活動を続けました。

• 鈴田滋人

  鈴田滋人は、木版摺更紗の人間国宝です。
  武蔵野美術大学の日本画学科を卒業したのちに、木版摺更紗の技術を復活させた父の鈴田照次の後を継ぎ独自の表現を確立していきました。
  鈴田滋人の作品は小さな型を集積させた幾何学的な模様が特徴と独特の色使いが特徴です。
  日本伝統工芸会でも数々の賞を受賞し、さらにMOA岡田茂吉賞工芸部門優秀賞や伝統文化ポーラ賞優秀賞も受賞。
  現在は作品発表の傍ら、後継者の指導や育成にも取り組んでおられます。