島根×着物

島根県には代表的な着物である「広瀬絣」「出西織」「出雲絣」があります。

• 広瀬絣

  広瀬絣は独特の型紙を使った染め方を用いるのが特徴で、幾何学模様とモチーフを大胆に並べたデザインが目を引きます。
  デザインにどこかモダンな雰囲気があるのも魅力です。
  広瀬絣は江戸時代末期の1824年、絣の生産が盛んだった鳥取県の米子で技法を習得した長岡貞子という人物が伝えたといわれています。
  その後、その地域を収めていた広瀬藩の絵師、堀江友声の図案による織物が作られるなど、独自の様式が形成されていきました。
  現在では鳥取の弓浜絣・倉吉絣と並ぶ山陰地方を代表する絣の技法の一つとして親しまれています。

• 出西織

  出西織は1955年頃、出西地方の多々納桂子氏によって創始された技法です。
  素材と綿の栽培から全て自家で生産される希少な織物で、糸は手紡ぎのものだけが使われます。
  「発酵建て」と呼ばれる高度な藍染の技法によって染められ、独自の美しい青のンは「出西ブルー」とも呼ばれます。
  出西織は糸の強度が強く、織り上げられた布も丈夫なのが特色。
  また、手紡ぎの糸が織りなす独特のざっくりとした風合いも人々を魅了しています。

• 出雲絣

  出雲絣は、古くから島根周辺で伝えられてきた絣の技法です。
  素材に木綿を使用するのが特徴で、通気性にも優れています。
  他の絣同様、藍だけで染め上げられ、深みのある独特の青色が生まれます。
  出雲絣は絣の技法の中では比較的歴史が長く、現在の島根県安来地方を中心に生産されていました。
  以前は「浜絣」と呼ばれていましたが、この技術を再興させた青戸柚美江氏が「出雲絣」という名を広めたといわれています。

• 永田佳子

  永田佳子は、広瀬絣の染色家です。
  主に広瀬絣の伝統紋様をモダンにアレンジした作品を数多く発表されています。
  1951年に、藍染業を営む家に生まれた永田佳子は、父の天野圭氏のもとで広瀬絣の伝統技法について学びました。
  2005年には絣の技術で県から無形文化財保持者にも認定。
  広瀬絣伝習所の所長にも就任し、広瀬絣の更なる発展と伝承活動を行なっています。

• 多々納桂子

  多々納桂子は、出西織の作家です。
  多々納桂子の作品は、人工の藍を使わずに天然素材だけで糸を染め、織物を制作しているのが特徴です。
  原料となる綿を自家で栽培するところから生産に関わっており、昔ながらの織物の技法を守っています。
  1954年からは染色と織物の技術を学び、陶工をしている夫の提案から、創作活動をはじめるようになりました。
  現在は娘の昌子氏と共に制作を続けています。