島根×食器

島根県には代表的な伝統工芸品「石見焼」「布志名焼」「出西焼」があります。

• 石見焼

  石見焼（いわみやき）は、島根県江津市を中心に石見地方で作られている焼き物です。
  1763年に製陶技術が伝わったことから始まったとされています。
  水甕など大型の陶器が特に有名で、生活用品として水甕の需要が高かった明治時代に量産されていました。
  石見の良質な陶土は高温での焼き上げが可能であり、頑丈に仕上がるのが特徴です。
  耐酸、耐塩、耐水に優れるため、大型の陶器や漬物甕などにも適しています。
  現在では、生活様式に合わせてさまざまな石見焼が登場し、人気を博しています。

• 布志名焼

  布志名焼（ふじなやき）は、島根県松江市玉湯町で作られている焼き物です。
  江戸時代中期に玉湯町布志名で始まりました。
  楽山窯の初代土屋善四郎は、藩命を受けて布志名に移り、藩の御用窯として品質の高い布志名焼を作りました。
  また、後に日用雑器を焼く民窯も栄え、明治期には特有の黄釉や青釉の陶器が国内外で人気となります。
  昭和になってからは、柳宗悦やバーナード・リーチらの民藝運動によって、新たな技術を取り入れ、作品の幅を広げています。

• 出西焼

  出西焼（しゅっさいやき）は、島根県出雲市斐川町出西で作られている焼き物です。
  1947年に地元出身の5人の青年（多々納弘光、井上寿人、陰山千代吉、多々納良夫、中島空慧）が集まり、開窯しました。
  比較的歴史が浅いものの、創業以降、民藝運動家の河井寬次郎や柳宗悦、バーナード・リーチらの指導のもと、素朴で実用的な陶器を作り出すという、現在の出西焼のスタイルを確立しました。
  出西窯では、島根県産の原料にこだわり、窯主のいない共同作業場で一丸となって作陶が行われています。

• 宮内謙一

  宮内謙一は、石見地方の江津市二宮で、石見焼の窯元「宮内窯」の初代を務めた陶芸家です。
  同じく石見焼の窯元である嶋田窯に生まれ、福岡県の小石原焼などさまざまな窯場を経験した後、石見焼の窯元として独立し、1970年に宮内窯を開窯しました。
  石見焼ならではの大型な陶器作りの名手として知られ、その技術は息子である二代目の宮内孝史氏に受け継がれています。

• 土屋善四郎

  初代土屋善四郎は、「出雲焼の中興の祖」と称される、江戸時代中期の陶芸家です。
  信州松本の出身で、1756年に六代目松江藩主の命で楽山焼の再興にあたります。
  また、1780年には七代目松江藩主の命によって楽山から布志名村に移り、布志名焼の藩窯として作陶しました。
  息子の二代目善四郎も藩主の好みに適う作品を多く作り、「雲善」の号を賜っています。