京友禅の老舗「千總」とは?歴史や特徴・高値が付きやすいアイテムを解説
千總は着物愛好家の間では知らない人がいないほどの名門であり、「一度は千總の着物を身に付けてみたい」と憧れる人も少なくありません。その精緻な技術と優美なデザインは、袖を通す人を特別な世界へと誘います。
この記事では、着物界を牽引してきた千總の歴史や特徴、価値について詳しくご紹介します。買取に関する情報も提供しますので、売却をご検討中もぜひ参考にしてみてください。
千總(ちそう)とは
引用:https://www.chiso.co.jp/kimono/furisode/
千總とは、創業450年以上の古い歴史を持つ老舗の着物ブランドです。
熱烈な愛好者がいることでも知られており、長年にわたって京友禅を牽引してきました。まずは、千總の歴史と特徴を再確認していきましょう。
千總は京友禅の最高峰
千總は京友禅の最高峰ブランドです。「千總といえば京友禅、京友禅といえば千總」といわれるほど確かな地位を築いており、その品質の高さは、皇族への調度品としても受注されていることが証明しています。
千總では、京友禅の着物をはじめ、染織物やアクセサリーなど幅広い商品を展開しているため、年代を問わず多くの人から圧倒的な人気を誇っています。
また、オリジナルブランドである「CHISO」を展開しており、現在の地位に甘んずることなく常に進化を続けているのです。
千總は着物の有名老舗ブランドですが、お客様が自分の目で着物の品質を確認できる機会をとても大切にしています。
そのため、京都の本店をはじめ全国の百貨店や呉服店で事業を展開し、お客様と直接向き合う姿勢を貫いています。
千總は、そのブランド力だけではなく、確かな品質とお客様への心遣いが魅力となり、成人式や結婚式など人生の特別な日にふさわしい着物として多くの人に選ばれています。
千總の歴史
千總は、室町時代の1555年、京都烏丸三条で創業しました。
創業当初は現在のような着物販売ではなく、法衣装束商として事業をスタートします。
江戸時代になると、御装束師として東本願寺などの門跡家や宮家につかえ、装束(しょうぞく)を納めるようになりました。
装束とは、昔の高貴な人が着用した特別な衣装のことです。
千總は御装束師として装束の色や文様を熟知し、着用する人の家柄や着用目的に合う最もふさわしい法衣や打敷を納める重要な役割を果たしていました。
明治時代に入り、千總は御装束師から友禅染めへと事業を大きく転換させました。
大正時代になると、国内では東京・横浜・神戸、国外では中国・朝鮮・タイ・シンガポールにも出張所を拡大し、発展を遂げたのです。
ところが、昭和の時代に入って千總はつらい時期を迎えます。
戦争一色の時代に突入し、これまでのような自由な商いは認められず、その高い技術力を存続させることさえも難しい状況に陥ります。
しかし、そのような状況のおいても、千總は強い信念を貫き続けました。
戦時下でありながらも「西村總染織研究所」を設立し、さまざまな技術の保存や継承に尽力したのです。
その甲斐もあって、戦後すぐに復興し着物作りに励むことができたのです。
そして、全国の百貨店へと商いの場を広げ、千總の名を全国に知らしめました。
平成に入っても千總の進化は止まりません。
2001年から始まった「友禅アートエキシビジョン」では、国内外のアーティストやファッションブランドともコラボレーションし、現代にも通用する魅力的なファッションが注目を集めました。
その一方で、「千總文化研究所」を設立し、伝統産業の振興や文化財の活用などの研究も行なっています。
そして、2020年には京都烏丸三条に「千總 本店」をオープンさせました。
このように、千總は伝統と進化を両立させ、どんな時代にもマッチする着物を次々と生み出しているのです。
千總の受賞歴
千總の歴史を語るうえで欠かせないのが、数々の受賞歴です。
受賞歴の一部を以下に紹介します。
1878年 | 「天鵞絨友禅」を創案、第7回京都博覧会へ出品、受賞 |
1881年 | 第2回内国勧業博覧会へ出品、「一等進歩賞」受賞 |
1889年 | パリ万国博覧会へ出品、「名誉大賞及び金牌」受賞 |
1890年 | 第3回内国勧業博覧会へ出品、「一等妙技賞及び二等妙技賞」受賞 |
1895年 | 第4回内国勧業博覧会へ出品、「名誉銀牌及び妙技二等賞」受賞 |
1900年 | パリ万国博覧会へ出品、「大賞及び金牌」受賞 |
1903年 | 第5回内国勧業博覧会へ出品、「一等賞牌及び二等賞牌」受賞 |
1910年 | 日英博覧会へ出品、「名誉賞」受賞 |
1958年 | ベルギー・ブリュッセル万国博覧会へ出品、「銀賞」受賞 |
2012年 | 15代目の西村總左衛門が、財団法人大日本蚕糸会より「蚕糸功労賞」を授与される |
2018年 | 15代目の西村總左衛門が、「旭日単光章」受賞 |
数々の受賞は国内のみならず海外にも及び、世界中から高い評価を受けていることがわかります。
また、明治宮殿造営に際して「室内装飾」の御用命を受けたり大正天皇御即位の御大典に際して「錦幡」の御用命を受けたりと、千總のもの作りは確実に評価を上げ、世間に広く知られるようになりました。
「千總」の着物の特徴
千總の着物には、昔から変わることのない3つの特徴があります。
優れた職人による手作業
千總の着物は、高い技術を持つ職人による手仕事によって作られおり、いくつもの複雑な工程を経てようやく1つの反物として仕上がります。
完成までの工程は、1つの工程ごとに優れた職人1人が担当するという担当制をとっています。
そのため、1つの工程に特化した職人が最高のパフォーマンスを行い、それが積み重なることによって千總ならではの素晴らしい着物が生まれるのです。
職人同士が互いに高め合い、刺激し合って完成させるという特徴は、千總の大きな魅力とも言えるでしょう。
こだわりの素材
千總は素材にも強いこだわりを持っています。
千總友禅に使用される白生地は、丹後にある千總専属の機屋で織り上げられています。
これにより、友禅ならではの色合いや模様、着心地や風合いなどが表現できるのです。
また、千總では蚕(かいこ)を育て、まゆから糸を紡ぎ、生地を織るまでの工程をすべて日本で行なっています。
このような素材へのこだわりが、千總の品質の高さを支える大きな要因となっているのです。
美しいデザイン
多くの人を魅了してやまない千總の美しいデザインは、専属の図案家が生み出しています。
千總の図案家は明治時代から存在しており、そのオリジナリティあふれるデザインは千總の象徴とも言えるでしょう。
また、千總には2万点にも及ぶデザインが所蔵されています。
これらの所蔵品は千總にとって宝物であり、図案家のデザイン力を下支えしています。
伝統と進化を両立させる千總独自のデザインは、古くから残されてきた所蔵品の賜物と言っても過言ではありません。
千總の販売価格や買取価格の相場
千總の着物は高級品であり、今も根強い人気があります。
ここからは、千總の着物の販売価格や買取価格の相場について紹介します。
しかし、相場はあくまでも目安なので、参考としてお読みください。
千總の着物は高額査定の傾向
千總の着物は査定額が高額になる傾向にあります。
その大きな理由としては、千總の着物は高級品のため、販売価格が高額であることが挙げられます。
新品の場合、販売価格の相場は30~100万円程度となっており、中には300万円近くの値が付く着物もあります。
高値がつきやすい千總のポイント
千總の着物は、確かな技術と美しい意匠で高い評価を得ており、中古市場でも人気があります。特に高値で取引されやすいポイントをいくつかご紹介します。
- ・振袖や訪問着は人気が高い
- ・「千總謹製」の落款が入っている
- ・「京友禅証紙」が付いている
- ・着物の丈が短すぎない
- ・保存状態が良い
これらのポイントを踏まえることで、千總の着物をより高く売却できる可能性が高まります。
振袖や訪問着は人気が高い
千總の着物の中でも、振袖と訪問着は特に人気が高く、高値で取引される傾向にあります。
振袖は未婚女性の第一礼装であり、成人式や結婚式など華やかな場面で着用されます。千總の振袖は、精緻な刺繍や染め、豪華な金彩が施され、その美しさは他の追随を許しません。そのため、中古市場でも高い需要があり、高値で取引されるのです。
訪問着は既婚・未婚問わず着用できる準礼装で、結婚式やパーティー、お茶会など幅広いシーンで活躍します。千總の訪問着は、上品で洗練されたデザインが特徴で、格調高い装いを演出します。振袖ほど華やかではありませんが、その汎用性の高さから人気があり、高値で取引される傾向にあります。
「千總謹製」の落款が入っている
千總の着物を高く売却するためには、落款の有無が重要なポイントになります。落款とは、作家や工房が作品に署名のように入れる印のことです。高値で取引される千總の着物の多くには、「千總謹製」の落款が入っています。
着物に落款がある場合は、衽(おくみ)か衿先に確認できるケースが多いです。衽とは、左右の前身頃にある、衿から裾まで続く細長い布です。
落款は、共布に押されている場合もあります。共布とは、着物と同じ生地で作られた布のことで、端切れとして着物に付属しています。売却の前に、落款の有無をよく確認してみてください。売却の際に落款をアピールすることで、査定額アップが期待できます。
「京友禅証紙」が付いている
着物の証紙は、着物の品質を保証する重要な役割を果たしています。千總の着物には、通常「京友禅証紙」が付いています。京友禅組合が発行するこの証紙は、厳しい基準をクリアした京友禅の着物のみに貼付が許可されます。証紙があることで、その着物が伝統的な技法で染められた高品質の京友禅であると証明されるのです。
京友禅の証紙は、仕立て前であれば反物の端に貼られています。仕立て後は共布に縫い付けられている場合が多いです。千總の着物を購入・売却する際には、京友禅証紙が付いているかを確認しましょう。
着物の丈が短すぎない
着物の価値を査定する上で、丈の長さは重要な要素です。丈が短すぎると、仕立て直しが難しく、着用できる人が限られてしまうため、査定額に影響が出ることがあります。
千總の着物は高価なものが多いため、丈が短すぎる場合は査定額が下がる可能性が高いです。反対に、身丈が長すぎる場合は、仕立て直すことで調整できるため、査定額への影響は比較的小さくなります。
保存状態が良い
着物は、保存状態によって価値が大きく変わります。たとえ「千總謹製」の落款や「京友禅証紙」が付いていても、シミや汚れ、虫食い、カビなどが目立つ着物は評価が下がります。
具体的には、以下のような点がチェックされます。
- ・生地の状態:日焼けや変色、色あせがないか
- ・縫製の状態:ほつれや糸切れがないか
- ・汚れの有無:シミ、汚れ、カビ、虫食いなどがないか
- ・におい:保管時のにおい(樟脳など)が強すぎないか
着物を高値で売却するためには、普段から適切な方法で保管することが大切です。湿気や直射日光を避け、防虫剤を使用するなど、着物の状態を良好に保つよう心がけましょう。また、定期的に虫干しをするのも効果的です。
千總着物を高価買取してもらうコツ
お手元に使用しない千總の着物がある方のために、高価買取のポイントを4つ紹介します。
着物の価値が下がる原因や高額査定のコツについて詳しくはコチラ
専門の査定士がいる買い取り専門店を選ぶ
千總の着物を高価買取してもらうには、専門の査定士がいる買い取り専門店を選ぶことが重要です。着物には様々な種類や技法があり、専門家でなければ正確な価値を判断できません。特に千總のような高級着物は、専門知識がないと適切な査定が難しく、本来の価値より低い価格で買い取られてしまう可能性があります。
千總の着物を売却する際は、複数の買い取り専門店に査定を依頼し、比較検討することをおすすめします。相見積もりを取ることで、より高い価格で買い取ってくれる専門店を見つけられます。
着物が高く売れる時期を狙って売却する
着物は特に冬に需要が高まります。例えば、1月には成人式があり、3~4月は卒業式、入学式、入社式などがある、着物を着る機会が増えます。振袖や訪問着は人気が高く、高値で売却できる可能性があります。少しでも高値で売りたいときは、需要の高まる時期に売却するのも一つの手です。
セット品はまとめて売る
千總の着物を売却する際は、着物単体だけでなく、帯や小物などのセット品をまとめて売ることで、査定額がアップする可能性があります。着物単体で売るよりも販売しやすく、高値で売れる傾向にあるため、買取業者も高値で買い取ってくれるのです。
具体的には、以下のものがあるかを確認してみてください。
- ・着物
- ・帯
- ・長襦袢
- ・帯揚げ
- ・帯締め
- ・重ね衿小物類
上記以外にも、着物に関連するアイテムがあれば、一緒に査定に出してみましょう。思わぬ高値が付く可能性もあります。
まとめて売却することで、個別に売るよりも査定の手間も省けます。高価な千總の着物を売却する際は、ぜひセット品をまとめて査定に出すことを検討してみてください。
状態をよくしておく
買取価格に影響する4つ目のポイントは、状態のよさです。
偶然にも、まったく同じデザインや素材の千總の着物を2着買い取ることになった場合、保存状態の悪い着物と新品に近い着物であれば、当然後者のほうが買取価格は高くなります。
そもそも着物の素材はとても繊細であるため保管が難しく、丁寧に保管していても虫食いやシミ、カビなどの劣化症状が現れてしまいます。
また、裾切れや汚れが付いた着物は、確実に価値を下げてしまうでしょう。
しかし、常日頃からメンテナンスをして状態を維持できれば、査定額への影響も軽減できます。
まずは一度、お手持ちの着物をタンスから取り出してみましょう。
そして、以下の手順に従ってメンテナンスをします。
・風を通して湿気を取り、カビや黄ばみなどを防ぐ ・乾いたやわらかいタオルでホコリを落とす ・シミや汚れをくまなくチェックし、必要な場合はクリーニングや着物販売店にメンテナンスを依頼する ・シワ部分にアイロンをかける ・丁寧にたたんで湿気の少ない場所で保管する ・定期的に虫干しを行う |
※ただし、無理なお手入れはかえって着物へダメージを与えてしまいますので、着物の専門業者にクリーニングを依頼するか、早めに査定に出すことをおすすめします。
このように、着物を状態のよいまま保管するためには手間がかかります。
もし、今後着用する予定がないのであれば、できるだけ早いうちに買取を依頼しましょう。
保存状態のよいうちに売るほうが高く売れるのでおすすめです。
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ウリエルは、お客様に安心してご利用いただけるよう、丁寧で分かりやすい説明を心がけております。査定額にご納得いただけない場合は、キャンセルすることも可能ですのでどうぞご安心ください。
売却するか迷っている着物でも、まずはお気軽に査定をご依頼ください。
まとめ
千總は古い歴史を持つ京友禅の老舗ブランドです。
数多くの賞を受賞し、実力も人気も衰えることを知りません。
そのため、千總の着物は中古品であっても高値で取引される傾向にあり、買取価格が下がりにくい特徴があります。
特に、「千總謹製」の落款や「京友禅証紙」が付いた振袖や訪問着は人気が高く、高額買取が期待できます。
千總の着物は、タンスに眠らせておくにはもったいない特別で貴重な作品です。
ぜひこの機会に、千總の着物を買取に出してみてはいかがでしょうか。
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