友禅とはどんな着物?友禅染の種類や特徴について解説
友禅とは着物に模様を染める代表的な技法で、1976年には経済産業省指定伝統工芸品にも指定された日本の伝統的な染め工芸の一つです。
友禅は今でも多くの着物ファンから愛され続けています。
ここでは友禅の種類や特徴について解説します。
友禅とは
引用:https://www.furisode-amanoya.jp/topics/trend-detail?id=145
まずは友禅とはどのようなものか解説します。
日本を代表する着物の染色法の一つ
友禅とは、友禅染の略で元禄時代に誕生した日本の代表的な染色技法の一つです。
まず紙に図案を描き、そして白い生地に色を染めます。
そのあと模様描きや刺繍を施し着物を制作します。
このときに糊(のり)を使うのが特徴で、糊を用いて染料のにじみを防ぐことにより模様にくっきりと輪郭が現れ、色を美しく染め分けることができるのです。
扇絵師の宮崎友禅斎により考案される
友禅の名前の由来は、江戸時代の扇絵師である宮崎友禅斎という人名からきています。
宮崎友禅斎は、糊を用いた着物の染色技法の創始者として知られています。
友禅の基礎は宮崎友禅斎が確立しましたが、時代の流れとともにさまざまな特徴が生まれました。
糸目糊(友禅糊)を使った染出し
手描き友禅の特徴として、ゴムやもち米からできた糸目糊(いとめのり)を用いて白い生地に模様の輪郭を描きます。
先ほども述べたように、この糊が防波堤の役目も果たしており、模様の隣り合う染料がにじまず、多彩な表現ができるのも特徴です。
このように糸目糊はよく用いられるので、友禅糊とも呼ばれています。
手描き友禅と型友禅
友禅には「手描き友禅」と「型友禅」の2種類があります。
それぞれの特徴を詳しく見ていきましょう。
手描き友禅とは
手描き友禅とは、下絵をもとに一筆一筆絵を描くように彩り豊かに染め上げられた技法です。
手描き友禅はすべての行程において高い技術が求められるので、完成までに多くの時間を費やします。
美しく描けるまでは長い期間修行が必要と言われているため、熟練の技術で描かれた作品は高い価値を誇ります。
型友禅とは
型友禅とは、筆で染めていく手描き友禅とは異なり、模様を掘った型紙と色糊を用いて染め上げられる技法です。
明治時代になると、新たに化学染料が導入されるようになり、「写し友禅」と呼ばれる型紙で模様を染める技法が発明されました。
手描き友禅が一点物なのに対して、型友禅は同じ模様の着物を何枚も染められるため大量生産が可能です。
着物によっては100枚以上の型を用いて染め上げるため、職人の技量と根気が必要とされています。
手描き友禅とは違う魅力と風合いで、親しまれています。
三大友禅の特徴
「京友禅」「加賀友禅」「江戸友禅」が日本の三大友禅として知られています。
ここでは三大友禅について解説します。
京友禅
引用:https://kogeijapan.com/locale/ja_JP/kyoyuzen/
京友禅は三大友禅の中でも日本で1番最初に生まれた技法で、前述した通り宮崎友禅斎によって考案されました。
京都の伝統工芸品の一つで、「友禅流し」という着物を鴨川の流れにさらして着物を仕上げる京都の風景として親しまれていました。
積極的に刺繍や金箔が施されており、京都らしく上品でやわらかい色調が特徴です。
また、京友禅は職人が分業で1枚の着物を制作しますが、それぞれの行程で専門の技術者が作業するため、華やかな作品が仕上がります。
なかでも手描き京友禅は現在京都で作られる振袖の全体の3%ほどしか制作されておらず、大変希少価値が高い着物です。
京友禅についてはこちらの記事をご覧ください。
加賀友禅
引用:http://www.kagayuzen.or.jp/know/
加賀友禅は石川県金沢市で染められる友禅です。
宮崎友禅斎が京都で友禅染を始めたあと、金沢で御用紺屋棟取・太郎田屋に身を寄せて加賀友禅の基礎が完成させたと言われています。
草花や鳥などの写実的な「草花模様」が中心に描かれており、国指定の伝統工芸品で加賀五彩(臙脂(えんじ)、藍、黄土、草、古代紫)を基調とする紅系統を活かした色使いも特徴です。
加賀友禅は京友禅とは違い、刺繍や金箔といった染色以外の技法は使用しません。
その代わり、葉が虫に食われている様を表現した「虫食い」や、「外ぼかし」と呼ばれる技法を用いて美しい模様を描きます。
制作過程のほとんどを1人で行うため、着物1つの制作時間に半年〜1年以上かかることも珍しくありません。
加賀友禅についてはこちらの記事をご覧ください。
江戸(東京)友禅
引用:https://www.japan-kogei.com/tokyoyuzen-about.html
江戸友禅は東京を産地とする手描き友禅で、当時の江戸の町人文化から影響を受けて発展したため、京友禅と加賀友禅とはまた違った都会的なおしゃれなデザインが特徴です。
色華やかな京友禅と加賀友禅とは違い、生地色は藍、茶、白などの色調が単彩に抑えられているのも特徴があります。
着物の基本的な染め方は京友禅と加賀友禅と同じです。
こちらも加賀友禅と同じく、仕上げまでを1人の職人が一貫して行います。
この伝統的な手描き友禅の技法は、1980年に「東京手描友禅」の名前で伝統工芸品に指定されました。
江戸友禅についてはこちらの記事をご覧ください。
友禅の着物の販売価格や買取相場は?
友禅は着物の中でも、高く買い取られる傾向があります。
その中でも、型友禅より手描き友禅のほうが高く買い取られる可能性は高いです。
商品名 | 買取相場 |
京友禅 | 20,000〜100,000円 |
加賀友禅 | 40,000〜120,000円 |
江戸友禅 | 70,000〜150,000円 |
※相場は目安であり、買取価格をお約束するものではございません。
京友禅の主な買取相場は、50,000円前後です。
京友禅は作家ものが少ないイメージを持たれがちですが、人間国宝級の作家作品も存在するため、買取相場を予測するのが難しいとされています。
次に加賀友禅の買取相場は、100,000円前後です。
加賀友禅は制作行程が1人の職人によって作られるため、作家物の着物が多く存在します。
しかし「加賀五彩」の色使いや、「虫食い」「外ぼかし」といった技法が用いられることの多い加賀友禅ですが、実際には量産品の場合もあります。
その場合は、あまり価格は期待できないでしょう。
最後に江戸友禅の買取相場は、120,000円前後です。
こちらも作家物が多いため、買取相場が高くなる傾向があります。
ウリエルの友禅買取実績やお客様の声はこちらの記事をご覧ください。
高く売るコツは
友禅をできるだけ高い値段で売りたい場合は、以下の点に注意するとよいでしょう。
・証紙や落款があるか ・着物はよい状態をキープしよう |
以下で詳しく解説していきます。
証紙や落款があるかどうか
証紙は着物の価値を表す証明書になるため、買取価格を上げることができます。
なかには証紙提示の有無で、買取額に数千〜数万円と大きな差が出る可能性もあるでしょう。
有名作家の手がけたものであれば証紙は必ず付いています。
たとえば、京友禅なら「京友禅証紙」、加賀友禅なら「加賀友禅証紙」があるので、査定の際は必ず着物と一緒に提出してください。
また、加賀友禅や江戸友禅は作家物が多いので、あわせて落款(らっかん)があればなおよいでしょう。
着物はよい状態をキープしよう
着物はよい状態をキープすることで、価値が下がるのを防げます。
特に着物は非常に傷みやすいので、保管状態によっては買取額が大きく変わります。
そのため、保管場所は湿気の少ない場所にしたり直射日光を避ける場所にしたりしましょう。
また、防虫剤やたとう紙を包んでの保管も必須です。
いくら高額な着物であっても、シミやカビがある場合や保存状態によっては、買取価格が下がる可能性があります。
つまり、新品や未開封といった状態がよいほど、高額買取になる可能性が高くなるのです。
まとめ
友禅とはどんなものかおわかりいただけたでしょうか。
友禅であればどれも伝統工芸品に指定されているので、一般的な着物より高く買い取られる傾向があります。
ウリエルなら査定料やキャンセル料、出張料などすべて無料でご利用いただけます。
お売りの際は、ぜひ高価買取満足度No.1のウリエルへご相談ください。
3つの買取方法