友禅

友禅とは

友禅染といわれる染色方法のこと

友禅染はまるで美しい絵画のような鮮やかな色彩が魅力の、伝統的な染色方法のことです。

描かれるのは、草木や山水、花や鳥など自然を感じさせるものや縁起の良いモチーフ、風景などがあります。

糸目糊というものを使って細かい模様の周りを縁取るようにすることで、さまざまな色が混ざり合うことなく、綺麗な模様を染めることができるという技法として誕生しました。

現在はさらに技法の種類が増え、さまざまな友禅染が生まれています。

友禅染の歴史

友禅染が誕生したのは江戸時代のこと。

元禄の頃に宮崎友禅斎(みやざきゆうぜんさい)という絵師が編み出し、その名前から「友禅染」と命名されました。

海外から物や技術、文化が入ってくるようになった明治時代には、化学染料が使われるようになり、友禅染の技法もさらに進化していきました。

友禅には「手描き友禅」「型友禅」がある

江戸時代の頃は全て手で描かれる「手描き友禅」だけでしたが、明治時代には新しい技術を取り入れた「型友禅」が誕生しました。

どちらの手法も、熟練の技術を必要とする伝統的な染色方法です。

＜手描き友禅とは＞
反物に描かれた模様の輪郭を糸目糊を使って丁寧に縁取りをして、その内側に色を乗せていくのが手描き友禅です。

手で一つ一つの絵を描いて色を付けることで生まれる、とても繊細な絵柄や色使いが特徴的。

1人の職人が仕上げる手描き友禅は同じものをたくさん作ることが難しいと言われます。

＜型友禅とは＞
柿渋紙で図案を作り、その型紙に合わせて色糊を乗せることで美しい柄を作り出す手法のことを型友禅と言います。

合成染料が日本に入ってきたことで誕生した技術で、京都が発祥です。

たくさんの型を使って柄を描くことや色の調合などはとても難しく、それぞれの工程を職人が分担し一つの作品として作り上げます。

日本三大友禅

京友禅

友禅の中でももっとも歴史が古い京友禅は、日本だけでなく世界中にファンが多い人気の染め物です。

たくさんの色を使った華やかな印象のデザインのものが多く、花鳥風月を採用した芸術品のような雰囲気があります。

また、仕上げに金糸を使って刺繍を施すなど豪華さがあるのも京友禅の特徴の一つです。

江戸友禅(東京友禅)

江戸の町人文化の中で生まれ発展していった江戸友禅の魅力の一つに、他にはないスマートで都会的なデザインがあります。

描かれる模様は江戸の周りの風景が中心で、シンプルな印象。

また最後の仕上げまで1人の職人によって作られるのも江戸友禅の特徴の一つです。

加賀友禅

石川県金沢市で作られる加賀友禅は、草花を中心とした写実的な文様が特徴です。

加賀五彩(えんじ・藍・黄土・草・古代紫)を基調とした色を使って描かれる模様は外側から内側に向かってぼかす技法で、本物のように描かれています。

また、「虫食い」という虫に食われた葉を描いてよりリアルに魅せる技法も加賀友禅ならではのものです。

三大友禅以外に「名古屋友禅」「十日町友禅」も

江戸時代から始まる友禅の中には、三大友禅以外にもその土地土地で発展していったものがあります。

名古屋友禅	江戸時代から京友禅の分業として始まったが、昭和58年に名古屋友禅として認定された。落ち着いた雰囲気が魅力。
十日町友禅	昭和30年代に生産が始まった。華やかさがあり現代的なデザインのものもある。

それぞれ個性や歴史がある染め物として愛されています。

友禅染の着物の相場と需要

友禅染は格の高い着物に用いられる

友禅染は華やかさのある染め物で、カジュアルな着物よりも格の高い着物に用いられることが多いです。

・黒留袖 ・色留袖 ・振袖 ・訪問着

など、フォーマルなシーンで着用できる友禅染の着物は需要も高く人気があります。

友禅着物の買取相場・価値

友禅着物はさまざまなポイントによって買取価格が変わります。

保存状態によっては数千円のものもありますが、人気がある友禅着物は高い物だと数十万から100万円程度まで跳ね上がります。

特に、有名作家や人間国宝が手がけた着物や三大友禅の着物など、価値が高いものは買取価格が高くなるでしょう。

友禅の買取価格を左右するポイント

保存状態

友禅着物を少しでも高く査定してもらうためには、日頃から正しく保管しておくことが大切です。

カビがあったり日焼けをしている着物はその価値が大きく下がってしまいます。

そうならないために気をつけたいポイントはこの3つ。

・通気性の良い場所で保管する ・日が当たらない場所で保管する ・時々虫干しをして湿気が溜まらないようにする

着物が劣化しないように、湿気や日光に気をつけることで着物の保存状態を良く保つ事ができます。

デザイン

中古着物は、流行の柄や着る人の年代、着用シーンが限定されるようなデザインの場合には買取価格に影響する場合があります。

それに対して友禅染の図柄は、自然をモチーフにしたものや縁起の良い絵柄を取り入れたものなど流行にとらわれず、いつの時代にも愛されるものが多いです。

これは友禅着物の買取価格が比較的高いと言われる理由の一つと言えます。

着物の種類

着物の買取価格はその種類によって大きく変わります。

普段使いができる小紋や色無地、付け下げに比べると、格が高い訪問着や振袖、留袖は買取価格が高くなります。

高価買取が見込める友禅

落款がある作家が手掛けた友禅

1人の作家や一つの工房で最初から仕上げまで作り上げる作品には、衿先やおくみに「落款」と呼ばれる印が確認できます。

有名作家やよく知られた工房の落款のある着物は、その価値が証明されて買取価格が高くなる可能性があるのです。

手描き友禅の証紙がついたもの

証紙とは、着物についての細かな情報が記載されているもので、伝統工芸品の組合に参加している工房や作家の作品には必ず付いているものです。

友禅着物の産地や作家、素材などに加えてその技法についても明記されています。

高い技術や手間ひまがかかる手描き友禅であることが証明できれば、買取価格にも良い影響を与えてくれます。

状態の良い美品

購入した時に高価だった友禅着物でも、状態が良くない中古着物だと高価買取は見込めません。

汚れやカビがなく、型崩れや色あせなどもない美しい状態の友禅着物は価値が高く人気もあるので、査定金額が上がるでしょう。

友禅を高く売るには保管方法が重要

定期的にたとう紙の交換と虫干しを行う

たとう紙とは、着物を購入した際に包んである紙のことを言います。

このたとう紙は通気性や吸湿性が高く着物の保管に最適です。

でも、長くそのままにしておくとたとう紙に湿気が溜まってしまって、徐々にその効果がなくなってしまいます。

そのため、年に1回程度を目安にたとう紙の交換をするのがおすすめです。

合わせて着物に湿気が溜まらないように虫干しをすることで、着物の劣化を防ぐ事ができます。

・日が当たらないところで着物を干す ・晴れ続きの日に行う ・湿度が低い日中に2〜3時間干す

空気が乾燥している秋などに、虫干しとたとう紙の交換を行えば着物を綺麗に保つ事ができます。

日光・湿度に要注意

着物にとって最も気をつけたいのが日光と湿度です。

模様の美しさが魅力の友禅着物が日光で色が褪せてしまっては価値が激減してしまいます。

普段保管する際には日光が当たらない場所に置き、着用するために室内で掛けて置く時にも日が届かないように気をつけましょう。

また、湿度が高い場所や通気性の悪い場所での保管はカビが生えやすくなるので要注意です。

定期的に湿気を取って、着物にカビが生えるのを防ぐことで買取価格が高くなります。