岡山×食器

岡山県には代表的な伝統工芸品「備前焼」「虫明焼」があります。

• 備前焼

  備前焼（びぜんやき）は、岡山県備前市を中心に作られている焼き物です。
  岡山を代表する伝統工芸品で、越前焼や信楽焼などと並ぶ「日本六古窯」の一つに数えられています。
  その歴史は古く、古墳時代の須恵器の製法がルーツであり、平安時代に作られた日用雑器から始まりました。
  良質な陶土を釉薬を使わず高温で焼き上げるため頑丈に仕上がり、土の味わいが存分に現れるのが特徴です。
  丈夫で普段使いにも好まれ、また土のもつ独特な風合いからコレクション品としても国内外問わず人気があり、買取市場でも需要があります。

• 虫明焼

  虫明焼（むしあけやき）は、岡山県瀬戸内市虫明で作られている焼き物です。
  その始まった年代については諸説ありますが、約300年前と言われ、岡山藩筆頭家老の伊木家の御庭焼として誕生しました。
  伊木家十四代で茶人の伊木忠澄が、京都の名工を招いて作陶させたことから、京風の茶陶として作風が定まっていきました。
  虫明焼には灰釉が用いられ、茶席になじむ落ち着いた色合いが特徴的です。

• 金重陶陽

  金重陶陽（かねしげとうよう）は、備前焼の人間国宝として1956年に認定された陶芸家です。
  1896年に備前焼の窯元で生まれ、15歳頃より父に師事して備前焼を学びました。
  室町・桃山時代の格式高い古備前の再現に尽力し、一時低迷していた備前焼を復興させ、「備前焼中興の祖」と称されています。
  また、1955年には日本工芸会の結成に携わり、理事となって伝統工芸の保護や振興に貢献しています。

• 藤原啓

  藤原啓は、1970年に備前焼で2人目の人間国宝に認定された陶芸家です。
  農家生まれで作家を志望していたため、陶芸とは長らく縁がありませんでしたが、正宗白鳥の弟の正宗敦夫から、備前焼の作陶を勧められたことを機に40歳にして陶芸の道を志します。
  鎌倉備前を追求して金重陶陽のもとで技術を磨き、温かみのある作風の「啓備前」を完成させます。
  1976年には備前市初の名誉市民に選ばれました。
  継承した息子の藤原雄（ゆう）氏は同じく人間国宝に認定され、現在はその息子、和（かず）氏が受け継いでいます。

• 黒井一楽

  黒井一楽（くろいいちらく）は、虫明焼の技術保持者に認定された陶芸家です。
  1933年より横山香宝に師事し、虫明焼の作陶を始めます。
  以降、日本各地にて展示会を開催し、1980年に岡山県重要無形文化財虫明焼制作技術保持者として認定を受け、三木記念賞、労働大臣卓越技能賞など数々の賞を受賞しました。
  1996年に逝去し、息子である黒井千左（せんさ）、慶雲（けいうん）らが継承しています。