静岡×食器

静岡県には代表的な伝統工芸品「志戸呂焼」「賤機焼」「森山焼」があります。

• 志戸呂焼

  志戸呂焼（しとろやき）は、静岡県島田市金谷で作られている焼き物です。
  その起源には諸説ありますが、西金谷の志戸呂郷と呼ばれる場所で作られたことが名前の由来であるとされています。
  1525年頃から作られ、後に徳川家御用窯となったことで名声を高めました。
  また、徳川家光の茶道師範であった小堀遠州が、自らの好みで指導や注文を行う「遠州七窯」の一つにも数えられています。
  鉄分を多く含む土で作られるため焼き上がりは頑丈で、褐色や黒釉の素朴で深みがある色合いが特徴的です。

• 賤機焼

  賤機焼（しずはたやき）は、静岡県静岡市で作られている焼き物です。
  徳川家康から賤機山麓の土地と賤機焼の称号を授かり、徳川家御用窯となったことから始まり、徳川家の保護を受けながら駿府城や久能山東照宮、浅間神社の御用窯としても繁栄しました。
  その後、大洪水によって窯場が流されたため一時衰退しますが、明治中期頃に陶工の青島庄助によって再興を果たし、現在では静岡県郷土工芸品に認定されています。
  なかでも｢鬼福｣という作品は、鬼は魔除け、福は祝福の意味をもつ縁起物とされ、江戸時代から現在まで続く代表作です。

• 森山焼

  森山焼は、明治期より静岡県森町森山で作られている焼き物です。
  1909年、初代中村秀吉は、森山の土が陶器作りに適することから、志戸呂焼の陶工であった初代鈴木静邨（すずきせいそん）を招いて開窯しました。
  1915年に天皇即位を祝って献上した花瓶と置物が高く評価されたことから名声を高め、現在では4つの窯元によって伝統が受け継がれており、素朴ながらも芸術的な作品を生み出しています。

• 青島秋果

  青島秋果（あおしましゅうか）は、賤機焼を再興した初代青島庄助を継ぐ、青島家の三代目です。
  初代が逝去した1912年の生まれといわれており、釉薬を使わず焼き締める「南蛮手」や、銅の顔料で紅色に発色させる「釉裏紅（ゆうりこう）」といった焼き方を取り入れて、賤機焼の伝統を受け継ぎながら改良し、より地方色の豊かな焼き物へと変化させていきました。
  現在は、五代目となる青島晴美氏が継承しています。

• 鈴木静邨

  鈴木静邨は、1909年に森山焼の開窯に携わった陶芸家で、元は志戸呂焼の窯元でした。
  焼き物では難しいとされている、赤色を表現する「赤焼き」の技術の研究を重ねた末、鮮やかな赤を生み出すことに成功しています。
  現在は、三代目の鈴木龍氏と四代目の進氏によってその技術は受け継がれ、鮮やかな赤色の陶器を中心に制作されています。