愛媛×食器

愛媛県には代表的な伝統工芸品「砥部焼」「楽山焼」があります。

• 砥部焼

  砥部焼（とべやき）は、愛媛県砥部町で作られている焼き物です。
  1777年、大洲藩主である加藤泰候（かとうやすとき）が経済の振興を図り、特産品である砥石のくずを利用して磁器の生産を行ったことが始まりとされています。
  白磁の表面に、呉須（ごす）という藍色の顔料を用いて絵付けが施され、白と藍のコントラストが魅力的です。
  また、硬い陶石を使って厚手に焼き上げるため、非常に頑丈であるのも特徴となっています。

• 楽山焼

  楽山焼（らくざんやき）は、愛媛県松山市で作られていた焼き物です。
  1678年、二代目松山藩主の松平綱隆の命により始められました。
  天神蟹の彫刻が施されているのが特徴ですが、これは陶工の倉崎権兵衛が、三代目藩主の松平定長の「あな寒し　かくれ家いそげ　霜の蟹」という句に感銘を受けたため、彫られるようになったといわれています。
  藩の御用窯であった楽山焼は、廃藩置県後に民窯となり継承されましたが、1990年に途絶えています。

• 向井和平

  向井和平は、「砥部焼中興の祖」と称される陶芸家です。
  1885年に砥部焼を清国に初めて輸出して以来、輸出による販路を拡大し、世界的に砥部焼の知名度を高めました。
  また、1890年に淡黄磁器の焼成法を発案し、淡黄磁器作品の「陶鶴」がシカゴ世界博覧会で一等賞となり、砥部焼はさらに高く評価されるようになりました。
  和平の号は愛山であったため、彼の作品は「愛山もの」と呼ばれています。

• 玉井楽山

  玉井楽山は、その名を三代受け継いだ、楽山焼の陶芸家です。
  最後の後継者となった三代目玉井楽山は、1924年松江市に生まれ、京都の陶工である伊東翠壺（いとうすいこ）に師事し、京都にて作陶を行いました。
  その後松江に戻り、三代目玉井楽山として楽山焼を受け継ぎ、日本美術展覧会などで数々の入選を重ねます。
  1990年に逝去し、玉井楽山の名とともに楽山焼は途絶えました。